2012年07月11日

屋上に続く階段に座って壁に寄りかかり、夕暮れの景色を見ていた。


輝かしい昼の日差しが失われてからも、
街はぬるい思い出のようにぼんやり照らされ、
空の色は、昼には持ち得ない優しさをたたえ、
ちぎれ雲達は遠くを眺めるようにして、
思い思いの色に染まる。
世界が一番暖かい時間。
やがてその時間も過ぎ行く。


赤、橙、黄、ほんの少しの緑、水、青
それらのグラデーションを順に追って、
それからまた地平線の赤を見る。
青を見た後の赤は新鮮に映るけれど
その色は確実に褪せている。
そんな視線の変遷を繰り返すうちに、
色の数は減り、境界はあいまいになっていく。


赤や橙に染まった雲達は急速に光を失いながらも、
時々思い直したように熱を取り戻し、ある時には
今までに無く鮮やかに染まって見せるが、
それでもやがて全てが色を失っていく。


街は青くくすみ、家々の輪郭はあいまいになる。
そのうち街全体が黒く沈み始めると、
それらの輪郭は闇に溶けていく。
ぼんやりしていた街灯りは次第に
温度のない硬質な光に変わっていく。
その光は、闇に解けたはずの家々の輪郭を、
ところどころで冷たく浮き上がらせる。


こうして夕暮れが終わり、
あらゆるものが色を失い、
熱を失っていく景色を見ていた。





寄りかかるコンクリートの壁だけが
いつまでも暖かかった。







そういう訳で家の中はわりと暑苦しい(・д・)





「残照の後」(2011/07/10)


posted by たろ! at 00:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日常計画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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