2012年07月11日

屋上に続く階段に座って壁に寄りかかり、夕暮れの景色を見ていた。


輝かしい昼の日差しが失われてからも、
街はぬるい思い出のようにぼんやり照らされ、
空の色は、昼には持ち得ない優しさをたたえ、
ちぎれ雲達は遠くを眺めるようにして、
思い思いの色に染まる。
世界が一番暖かい時間。
やがてその時間も過ぎ行く。


赤、橙、黄、ほんの少しの緑、水、青
それらのグラデーションを順に追って、
それからまた地平線の赤を見る。
青を見た後の赤は新鮮に映るけれど
その色は確実に褪せている。
そんな視線の変遷を繰り返すうちに、
色の数は減り、境界はあいまいになっていく。


赤や橙に染まった雲達は急速に光を失いながらも、
時々思い直したように熱を取り戻し、ある時には
今までに無く鮮やかに染まって見せるが、
それでもやがて全てが色を失っていく。


街は青くくすみ、家々の輪郭はあいまいになる。
そのうち街全体が黒く沈み始めると、
それらの輪郭は闇に溶けていく。
ぼんやりしていた街灯りは次第に
温度のない硬質な光に変わっていく。
その光は、闇に解けたはずの家々の輪郭を、
ところどころで冷たく浮き上がらせる。


こうして夕暮れが終わり、
あらゆるものが色を失い、
熱を失っていく景色を見ていた。





寄りかかるコンクリートの壁だけが
いつまでも暖かかった。







そういう訳で家の中はわりと暑苦しい(・д・)





「残照の後」(2011/07/10)


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2011年06月28日

あっつー!!!(゚ω゚)

今日最高気温35度やっけ?

あっつー!!!(゚ω゚)

けどこれは夏とは違う気候な気がする。

ただ日差しがきつくなっただけというか

地面や空気が取り残されているというか

何か空のぬけ方がおかしいというか

どこかが致命的に涼しいというか

誰もいない繁華街というか

閉鎖した遊園地というか

記憶の中の夏というか

光が白いというか

嘘というか。




あるいは僕がゆっくり1年かけて、夏の感覚を忘れているのかもしれない。

新しい季節は、いつも気付いたときにはやって来ているのだ。

けれどとにかくこういう違和感は毎年この時期に感じる。

夏の真ん中を挟んで、今日の反対側にある秋の日を考える。




この不思議な暑さは、

地面と人がまだ夏を引きずる

秋の日の暑さではないだろうか?

この不思議な涼しさは、

夏が終わっていた事に気が付く

秋の日の涼しさではないだろうか?

自分だけが取り残されたまま、

いつか夏は過ぎていたのではないか?

不安になるのだ。




「あつい≠なつい」(2010/07/20)


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2011年06月12日

モノレールの中

絵に描いたように可愛い小さな女の子が

目に付く物の名前を順番に呟いている男の子に話しかける




ねえ、死んだ後の事知ってる?

天国と地獄に行くんだよ?

だから死ぬまで天国には行けないんだよ?

だからみんな死ぬのを待ってるんだよ?




ゆっくり丁寧に置かれていく言葉

女の子のとびきりの笑顔

久しぶりに晴れた空

今は静かな男の子の後ろ姿

宙に伸びるコンクリートの道

窓から見下ろす古い遊園地




「跡」(2010/03/16)


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2011年02月13日

DSC_7432-ss.jpg



ゴミを出そうと思った。


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2011年02月11日

ブラインドを開ける。

遠くの山並みが白くくもって見える。

見上げると空は白く明るく、磨りガラスのようなその白さは山まで一様に続いている。

雪か…。

ベランダに出ると、手摺りには疎らに砂糖がふりかかったみたいだ。

小さく乾いた粉雪。

眼を凝らせば氷の結晶が見える。

そっと息を吹きかけるとさっと散って、降りしきる雪の中に戻って行った。

ゆっくり降りていく粉雪を眺めていると、

最初から音なんてする筈ないのに、

「静かだ」と思う。




高く遠い所から

静寂を運んできて

街の音の隙間を

ゆっくり埋めていく。




「粉雪」(2011/01/27)


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