2012年02月20日

科学の発達した時代、世界には対峙する2つの大国が君臨していた。

大国は互いに科学的、経済的に相手を圧倒しようと静かな戦いを繰り広げていた。

「いつか大きな戦争が起きる」

世界中がもやもやとした緊張感に包まれていた。

そんな中、一方の大国が大規模な実験を計画した。

実験の内容は、新型爆弾を近くの小さな星に打ち込むというものだった。

星には低い発達段階の生物が住んでおり、爆弾投下後の生物や環境の変化を観測するというのだ。

爆弾の威力から、数時間でほとんどの生物が死滅することが予想された。

実験の内容が明るみになると、計画は大きな反対を受けた。

実験の目的が、将来起こり得る戦争に向けての準備であることは誰の目にも明らかであった。

計画の首謀者はそれを隠そうとせず、むしろその爆弾の威力を見せびらかそうとしていた。

行き過ぎた挑発であった。

生物の保護の観点からも、計画は大きな批判を浴びた。

その爆弾が星へもたらす影響の酷さを知ると、普段は生物の保護等には無関心な者も声を上げずにいられなかった。

自分達がいつかその星の生物と同じように、数時間で焼き尽くされ得る事も容易に想像できた。

2つの大国を含む世界中の国々で、大規模な実験反対運動が起こった。

殆どの人々にとって、国家の政治的対立など関係なかった。

結局、実験はすぐさま中止に追い込まれた。

こうして地球の平和は守られた。

理不尽な爆撃を受けることなく。





「冷戦時代」(2008/09/18)


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2011年02月02日

僕らは並んで座る。

先生は話す。




「皆さんは聞いた事があるかも知れません。

有名な、ダーウィンの進化論によると、

地球上における生物の変異というものは、

それ自体にはなんの方向性もありません。

その生物にとって有益な変異が起こるとは限らないということです。

偶然、変異の結果が生存にとって有利に働いた時に、

その変異した形質を持った生物がより多く生き残り

その形質が子孫に受け継がれるのです。

これが進化なのです。

進化の方向を決めるのは生物ではないのです。

少しずつ、でたらめに変異していく生物たちが、

地球上で生きる事ができるかどうかは、

地球の環境が選択すると言っても良いかも知れません。

私たち人類が今ここに生きていることもまた

人類の変異と地球の選択の結果なのです。」




先生は話す。

僕らは並んで座る。

僕は分厚い窓越しに

遠く青い星を眺める。




「授業」(2010/03/01)


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